2013年7月10日水曜日

新聞、読んでいる?(新聞の将来)

新聞は、多分読んでいると思う。
いや、正確に言えば、新聞を取って読んでいる人と、Webサイトのニュースや新聞社の電子版(無料)を読んでいる人に分かれると思う。

新聞を取っている人は、折り込み広告や新規時以外のところもよく目を通していると思う。
こういう人は、電子版でもニュース記事以外のところをよく見ていると思う。

Webサイトのニュースや電子版を読んでいる人は、情報を追っかけているのでニュース記事だけだと思う。


将来、日本の新聞は消えるのか?
大幅に、発行部数を減らすのか?

調べよということで、調べた。
結論は、A4で一枚。

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失わないために、データを載せる。

引用しているので、使う時は、引用先を記述すること。
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データ: 戦中からの新聞の発行部数動向(1942年以降版)

これは、いろいろデータを探したが、良くまとめたグラフだと思った。
一番最初に見つけ、様子が良くわかったし、知りたかったことがみえる。
戦後から高度経済成長を経て、バブルの頂点を過ぎ、崩壊した後の1997年ごろにピークがあったことを、初めて知った。そして、そこを頂点にして下がっていることがわかった。
ただし、一般紙とスポーツ紙は、データを分けなければならない。

データ: 新聞協会、http://www.pressnet.or.jp/data/
新聞協会に加盟している新聞社: 2012106

新聞協会のサイトのデータを使って、グラフにした。
今は出していないさかのぼっているデータは、見つけた。

2000年を100%として、変化をグラフにした。
これを見て、一般紙は、この最近5年くらいで急速に下がっている(優位差である)と解釈した。
何が起きているのか、さらに調べることにした。
*スポーツ紙(1997年から下落)は、対象からはずした。


データ: 総務省、平成24 年通信利用動向調査、

携帯電話(スマートフォンやタブレット(wifi端末)も含むが取り出して数値化)、PC(インターネット接続と解釈)の厚生省のデータを使って、グラフにした。
インターネットの普及は2002年頃からあったが、強く影響していない。
しかし、スマートフォン(IPhone:2008年発売)やwifi端末となるタブレットの増加が、「明確に」影響していることがわかった。もっと言えば、数値を見つけることはできなかったが、モバイルwifi通信機器(私もeMobileを使っている)の普及に影響受けて、発行部数を減らしているのではないかと解釈した(スマートフォンのデザリング機能も大きい)。つまり、一人で、複数のデジタル通信機器を持つようになったのではないか。
それによって、情報を探すのは、新聞や週刊誌、雑誌の紙媒体からインターネットへ変わった(生活習慣が変わった)と、このグラフから解釈ができる。
大きな出来事と言える。

eMobileのモバイルwifi通信機器

特に、新聞協会の言う「即売」(駅やコンビニでの購入)は、減った。都会では、直感的に理解できよう。
発行部数全体に占めている割合が、6.57%(2000年)から4.57%(2012年)へ激減した(101.2万部のマイナス23%の減少)。
一方、新聞協会は、発行部数がアメリカのように激しく減少することはない(新聞は固定読者が多く、媒体の到達が安定していることがうかがえます)としている。

それは、日本独特の「家庭への宅配率が高水準の95%」と「長期期間同じ新聞をとる傾向が、16年以上66%という愛読者志向」を、その証拠として出している。



wifi通信網のイメージ図である。
公共のwifiも45万スポット以上(2012年)と増え、激増中である。
各家庭には、無線LAN(wifi)端末を無料で電話会社(au)が配布した。
そのようなことで、デジタル機器=通信会社と1対1で契約ではなくなり、1つの契約だけでも、公衆回線を使えば契約していなくてもインターネットに接続できるようになった。
それが、wifi普及の真の影響である。

データ: 存亡の期を迎えた新聞

大手新聞5社についても調べたが、傾向は同じであった。
2004年ごろまでは安定した部数(ピーク)を維持していたが、2008年から急にマイナス4.5%と転じた

各紙ごとの傾向は、下記のグラフのとおりであった。
差はあれ、減少へ転じる傾向は同じであった。


スマートフォンの契約数である。
データ: MCPCスマートフォン中期市場予測、

口数として、2012-2013年のときに、朝刊夕刊スポーツ紙など全国の加盟新聞社の総発行部数(47,777,913部)を越えている。これは、大きな出来事である。


これは、閲覧時間を調べたデータである。
データ: 博報堂DYメディアパートナーズ、対象者(男女均等)一人当たりの時間
Mobile(携帯電話)の中に、スマートフォンなどを含む。縦軸は、一日の閲覧時間。
PCとMobile(モバイル)は、インターネット(Internet)接続時間に相当する。

他にも調査データがあったが、身近な人の傾向と良く合うのでこちらを採用した。
インターネットへの接続時間は、一日2時間以上となっており、特に、モバイルの伸びはPCの伸びを鈍化させるほど強い。若年層ほど、モバイルの使用率は高くて接続時間も3時間以上と長い。
新聞の閲覧時間は、この5年間は変わっていないように見えているが、「年齢と人は年を取る」ということを考慮すると減少へ転ずる要因が明らかにある。
新聞はこのまま「高齢者の友」として死滅していくのだろうか(http://blogos.com/article/60241/」という言葉に、集約される。

年齢別の閲覧状況。
年齢が低くなるに従い、新聞を読む時間がほとんどない。
10分から40代でも25分である。

そのままの傾向が引き継がれて、10年経ったときの予想グラフである。
世代的によく読んでいた高齢者がいなくなるので、減る

このことから、確実な新聞の発行数の減少が説明できるとしている。
紙媒体の新聞や雑誌の衰退を主張する根拠は、ここにある。

もうう一つの重要な問題がある。
新聞各社の広告収入である。
データ:
①グラフ(左):媒体広告費、http://www.garbagenews.net/archives/1947830.html
②グラフ(右):新聞協会、http://www.pressnet.or.jp/data/

2006年から、確実に減っている。
マイナス38.7%の減収、金額にして2,679億円
ここの新聞社については不明だが、全体としては、激しく減っている。
まさに、インターネットへの広告の流失の影響である。

各新聞社の電子版は、
昨年2012年、86社中、電子版は57社(66%)が運用し、27社(31%)が有料化した電子新聞を発行した。日本5大紙全てが電子版を持つが、読売新聞と毎日新聞の2紙が「有料」電子版を開始していない。
電子版の有料化による収益への効果については、まだ、意見が分かれており、無料サイトがある限り有料化は成功しないという意見が強い(中国でも同じ傾向にある)。

一方、地方紙は、
全国紙にできない地域密着型の「SNS活動」(豊富な地元のニュース配信・イベント活動・地元放送局(TVとラジオ)との連携など)に力を入れ、読者を囲い込む努力を行いwifi電子メディアからの影響を防いでいる。
データが取りにくく調べにくいが、かろうじて2004年から調べると、京都/神奈川は3.7-5%と発行部数の減少は割合少なかった。
*大都市新聞を選んだのは、地方ほど人口の減少の影響が大きいので、さらに地方都市の場合が参考にはならないため。

2013-7-8-j